2010年1月8日

貸金業法とキャッシングの今後

貸金業法の改正によって、かなりの制限が設けられました。

それは、借金をする消費者にとっても、キャッシングをしてもらう債権者にとっても、不自由を強いられるということになります。

それによってキャッシング被害がどの程度減っていくのかというのは、今後しっかり観察していく必要のある結果項目と言えます。


キャッシングは、本来困った人を助ける為の社会的システムであるべきです。

しかし現在では、困った人をより困らせる為のシステムとなりつつあります。

日本自体、借金を数多く抱えている中で運営されている国です。

その中で、国民も借金で困るとなると、本当の意味で借金大国になってしまいます。

貸金業法の改正は、そういったネガティブな思考を断ち切るという意味でも必要なものでした。

ある種の景気対策とも言えるのではないでしょうか。


今後、この改正によって効果があると立証されれば、さらなる貸金業法の改正が行われていくでしょう。

そうなってくると、貸金業者もそれなりに対応に追われ、システムはより複雑化していくことに繋がる可能性があります。

いわゆる「法の目をかいくぐる」という手法ですね。

そうしたら、今度は貸金業法の方もどんどん複雑化していく可能性は否定できないでしょう。

それらが、新たな問題として勃発してくると、別の意味で消費者が苦労する事になるかもしれません。


いずれにせよ、借金の形態は、今後もどんどん変わっていくことが推測されます。

貸金業法は、それに合わせて、できるだけわかりやすい取締りをして欲しい所ですね。

貸金業法とテレビCMの関係

消費者金融のテレビCMは、年々増えているような気さえしています。

ただ、このテレビCMを巡っての問題というのも、結構話題になったりしていますよね。

一番有名なのは、アイフルのチワワを使用したCMですね。

このCMは社会現象にもなり、チワワの売り上げ大幅アップ、出演者のブレイクなど、様々な話題を提供する一方、その後のアイフルの貸金業規制法違反、そしてCM中止といった流れが起こした波紋も非常に大きかったようです。


元々、消費者金融のCMというものは、テレビタレントもイメージダウンに繋がるとして、出演を見合わせるというのが通例でした。

しかし、上記のチワワブームや、小野真弓さんのブレイクなどによって流れが変わり、多くのタレントが出演するようになりました。

現在でも、有名芸能人が多数出演しており、特にタモリさんの出演は様々な波紋を投げかけました。


こういった流れは、同時に本来は子供に見せるべきでない消費者金融のCMをテレビが推進しているという抗議を生み、かなりの問題となりました。

キャッシングによる被害の拡大を助長しているのでは、という意見ですね。

確かにそのような面が無いとは言い切れず、貸金業法の改正で、自主ルールともいうべき規制が設けられました。


まず、子供がテレビを見る時間帯(7?9時、17?22時)には消費者金融のCMを流さないというものです。

これによって、子供が消費者金融のCMを見る機会を極力無くすという狙いです。

実際問題として、消費者金融側としても、子供にCMを見せるメリットはほぼ皆無なので、特に問題なく成立するルールと言えるでしょう。

一方、その分を深夜などに回すことで、かなりの量のCMが深夜枠で流れるなどの懸念もあります。

貸金業法の改正は、テレビCMにも大きな影響を与えているのです。

貸金業法と債務整理の影響

貸金業法の改正は、債務整理に関してもかなり影響を与える事になりました。

2006年に改正の内容が成立し、2007年から段階を踏んで実施されている貸金業法の改正ですが、その中でも一番債務整理に影響するのは、やはりグレーゾーン撤廃でしょう。

これによって、金利がかなり見直しされるからです。


実際にグレーゾーンが撤廃されるのは、2010年の6月からなのですが、それを見越し、既に多くの金融会社が金利の見直しを行っています。

その為、債務整理の状況も刻一刻と変わっているようです。


具体的には、金利に関するトラブル、あるいは解決というものが増えてきているのです。

トラブルに関しては、特に金融企業の金利の宣伝方法や、実際にどれくらいの金利が付くかわかりにくいといった苦情が増えているみたいですね。

現在、貸金業界では金利競争が勃発しています。

少しでも安い金利をという事で、顧客を多く抱える為に金利の引き下げ合戦が行われているのです。


ですが、その一方で、いかに実質的な金利と最低金利を剥離させるかという方法もいろいろ考えられています。

つまり、特殊な条件下における金利を引き下げ、その金利を大々的に宣伝広告に使用し、ノーマルなキャッシングの場合は結構高い金利で貸付を行うという手法が見られるようになったということです。

こういった方法が一般化したことで、トラブルが増えているのです。


一方、解決というのは、元々債務整理中だった債務者と債権者が、金利引下げに伴い、返済額を緩和して和解に至るというケースです。

債権者としても、この忙しい時期にあまり多くの案件を抱えたくないという事情があるのでしょう。

結構こじれていた話し合いが和解するというケースが多く見られているようなのです。

いずれにせよ、今後さらにそういった話は増えてくるのではないでしょうか。

貸金業法と年収証明書提出の意味

貸金業法の改正によって生まれた流れとして、年収証明書を審査に加えるという項目が追加されました。

これは、50万円以上の借り入れを行う際、年収を証明する書類の提出を必須とするという項目を貸金業法に加えるというものです。

この改正をはじめ、貸金業法改正によって、消費者が安易に高額のキャッシングを行う事を制限するという項目がかなり増えています。


例えば、融資額の制限です。

毎月の返済が月収の3分の1を超える融資に関しては、受けられないようになっています。

具体例を挙げると、現在の年収が240万円の人が、月7万円の返済を必要とするキャッシングは原則として行えないということです。

360万円の年収の人は、10万円以上月に支払う必要のあるキャッシングはダメということですね。


また、キャッシングする際の審査も、名目上は厳しくなりました。

実際にそれがキャッシングする時の障害となるかどうかはその会社にゆだねる部分もありますが、現在の収入や支出、家族構成、あるいは勤務先といった、これまではあまり多く聞かれなかった部分をしっかり聞くようにという指導がなされたようですね。


こういった、消費者に対しての制限というのも、消費者を守る為には致し方ない部分ではあります。

多くの自己破産者、あるいは借金で苦しんでいる人は、本来しなくてもいい借金や、しっかり計画を立ててれば滞りなく返済できた人ばかりなのです。

そういった人達が今後増えていかないよう、キャッシングにも節度を持つような方向へ導くというのが、貸金業法改正の意義なのです。

債務整理依頼の無視は禁止

借金をしてしまった場合、それでもしっかり計画を立てて返済すれば、それは恥でも何でもありません。

実際、そういう考えは既にだいぶ浸透してきており、キャッシングを行う事に抵抗のない人も増えています。

それはそれで問題ではありますが、きちんと返済さえできれば、それは自己判断に伴う行動なので、大きな問題とはなりませんよね。


ただ、中にはそういったキャッシングを行っていく事で、悪徳業者に捕まる人もいます。

そうなると、人生を揺るがす大問題に発展する事になるでしょう。

貸金業法の改正で取り締まりはかなり厳しくなりましたが、元々貸金業法をはじめとした法律を遵守していない悪徳業者にとっては、あまり関係のない事。

容赦なく法外な金利を要求してくるでしょう。


そうなった場合は、弁護士や司法書士に依頼して、債務整理をしてもらうことになります。

今後収入の見通しが立たず、どんな方法でも返済が不可能と判断されれば、自己破産という事になるでしょうが、ある程度収入の目処が立っている場合は、債務整理という形がとられます。

債務整理は、弁護士や司法書士が債権者と債務者の間に入り、債権者と話し合いをして、これくらいの額なら返せるので、これで手を打ちませんか、と打診する行為ですね。

これによって、当初請求されていた額から大きく縮小した返済額となるケースは非常に多く、相手が悪徳業者の場合は支払いをしなくて済むケースも出てきます。

この債務整理、相手に大きな非がない場合でも、返済額が大きく減るケースが多々あるので、どうしても返済ができないという人は、まず専門家に相談しましょう。


さて、ここで問題となるのは、債権者がこの債務整理を無視し、取立てを継続した場合です。

基本的に、債務整理の請求をしている段階では、取立ては禁止事項となります。


債務整理を無視した場合は貸金業法違反となるので、その時点で悪徳業者とみなす事ができます。

2010年1月7日

債務者以外への取立ては禁止事項

借金を背負うと、基本的には返済の義務があるのですが、中には返済をなかなかできないという状況に追い込まれるケースもありますよね。

そういう場合、債権者は債務者に対しての取立てだけではなく、債権者以外への取立てを行うというケースがかなりあります。

また、悪徳業者は、法外な年利を設定し、それを要求する事がよくありますが、その金利を支払えない場合も、このような債権者以外への取立てが行われる事が多いようです。

対象となるのは、家族や親戚、友人、同僚などに対してですね。

こういう行為も、よくドラマなどのフィクション作品で目にする機会があります。


実際、このような行為はかなり頻繁に行われていました。

現在では貸金業法によって禁止されていますが、この件に関しては、今も結構行われているようですね。

貸金業法における取締りをさらに強化すべき点と言えるかもしれません。


債務者以外への取立ての中でも、特に厄介なのが親や祖父、祖母への取立てです。

兄弟や親戚、あるいは友人などは、基本的にいくら取り立ての電話やメールなどが入っても、相手にする事はないでしょう。

もちろん迷惑行為にはなりますし、同時に借金の事実の漏洩に繋がるので、債務者にとっては辛い行為であり、悪徳業者にとってはそれが狙い目なので、回収はあまり考えていないというのが実情でしょう。


ただ、親や祖父、祖母に関しては別です。

責任感や情から、言われたとおりの金額をそのまま返してしまうケースが多いからです。

その為、悪徳業者は親などへの取立てに関しては、かなり頻繁に行う事がよくあります。

もし、自分が不当な金利での取り立てにあっている場合は、その旨を周囲の人に伝える事も、周囲の人への迷惑を緩和させるという意味では重要な事かもしれません。

貸金業法に違反している行為だと言えば、たいていの人は理解を示してくれるでしょう。

張り紙は禁止

現在の貸金業法においては、張り紙による貸し入れの事実の公示は全面的に禁止事項となっています。

これも、ドラマなどではベタな手法として使われている方法ですね。

債務者の家の近くの壁や電信柱に、『この家の人間はこれだけの借金をしています』という、具体的な個人情報を明記した張り紙を沢山張ったり、ビラとして配ったりするというものです。

今ではほとんど見かけませんが、昔は実際に行われていた方法の一つだそうです。


意図は当然、債務者を精神的に追い込む事です。

債務者に返済能力がないとわかった場合、基本的に悪徳業者は債務整理をされる前に、借金を他の会社にして自分の所に返済させるか、保険などの別の手段でお金を作らせるか、などという強硬手段に打って出ていました。

今もそれは変わらないようですが、現状ではそういった行為はもちろん、精神的な追い込みに関しても全面的に禁止しています。


張り紙をするというのは、周囲の人間に対して債務者のプライバシーを漏洩するという意味では、事件性を伴う犯罪と言えます。

貸金業法に違反するだけでなく、張り紙の撤去に費用がかかる場合は『不法行為』となりますし、自宅の家や壁に貼られた場合は『建造物損壊罪』や『器物損壊罪』が成立する可能性もあります。

そこまでは至らない場合でも、軽犯罪法となる事は十分考えられます。


また、張り紙が借金の事実を漏洩している事で、やはり『不法行為』となりますし、もし中傷的な内容が含まれていれば、『名誉毀損罪』や『侮辱罪』を問う事も可能でしょう。

いずれにしても、まずは専門家と話し合う事が重要です。